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転倒骨折予防・介護予防 fall fracture prevention and preventive care

T.転倒骨折の予防



二足歩行の私たちは、誰もが歳を取るといつか転倒してケガをしたり骨折する宿命にあります。
二足歩行とは、股関節に交互に体重を移動しながら「ヤジロベエ」のように実にあやうく歩くことであり、常に転倒の可能性をはらんでいます。
このため都内では年間約800人の高齢者が転倒して骨折し、救急車で搬送されており、その後数年で80%の高齢者が要介護の状態になっています。
換言すれば、高齢者一人一人が転倒骨折しないことを心掛けることが、医療や介護を減らすことにつながり、さらに「外出」という日常的な行為を通じて様々な消費活動を通じて若い世代に年金と蓄えを分配することがでます。
そして高齢社会では、転倒予防・転倒骨折予防こそが介護予防につながる時代なのであり、医療や介護を減らすことは大きな社会貢献につながります。

そこで「えこる」では、高齢者の皆さんに日頃から「転倒の練習」をしておくべきであると提唱しています。
たとえば、かつて「東洋の魔女」と呼ばれた女子バレーボールの「回転レシーブ」や「柔道の受け身」あるいは、体重100キロを超える力士ふたりがもつれるように土俵下に転落してもほとんど怪我をしない「相撲」のように、我が国には「受け身」の文化や「丸く転ぶコツ」があるのであり、このコツをもっと利用すべきであると提唱しています。
そこでまず万一転びそうになったら、大きく転ぶのではなく極力「小さく転がる」ことを心掛け、時々広い室内で布団等を床に敷いて転ぶ練習を行うことをお勧めします。
なお、家の中でも転倒の危険性がありますので、下記の注意事項を念頭に置いてください。
1.あってもなくても良い足拭きマットが室内での転倒の第一原因であること
(皆さんのお家に必ず1枚か2枚はこうしたマットがあるはずです)
2.室内の通路の確保と室内の整理
(足もとに物を置くと、当然つまずきやすくなります)
3.普段生活している場所から10メートル以内での転倒骨折が多い
(階段や玄関、台所、浴室等)
4.朝起きたとき、お昼寝のあと、あるいは夜間のトイレなどで起きあがるときは、
保温に気を付けながら、寝具に腰掛けて1〜2分は意識がはっきりしてから起きあがること
(いきなり立ち上がると、足もとがふらつき、軽い脳貧血が起きることがある)
ちなみに都内では、救急車を呼んでも事故が多いときは救急車の到着まで40分以上掛かることが珍しくありません。
さらに救急車が到着しても受け入れ先の病院が決まるまで、1時間以上も救急車が発車しないこともあります。
これは救急車を受け入れる都心の病院は重傷な人から優先して受け入れるため、意識があり大きな外傷がないと神奈川県や千葉県などの隣接した遠方の病院に回す傾向があり、都内ではなかなか受け入れ先が決まらないことが多発しています。

ちなみにあと約10年すると団塊世代の医師が続々リタイアし、脳外科・心臓外科・産科・整形外科等のリスクが高い専門科目の医師をめざす若い医師が少ないため、深刻な医師不足が生じ、救命救急すら順番待ちになるとNHKが予想しています。
と、言うことは転倒骨折しないこと、むしろ転倒骨折の予防がものすごく重要になってきます。
わが国では、転んで骨折してから杖を使う高齢者が多いのですが、「転ばぬ先の杖」のたとえがあるように、小さな転倒を数回続けるようになったら転倒骨折を予防するために、ご自分とご家族のために早めに杖を使用することをお奨めします。

U.「ロコモティブ シンドローム」とは



ロコモとは「ロコモティブ シンドローム」のことで、ロコモは、「メタボ」や「認知症」と並び、「健康寿命の短縮」「ねたきりや要介護状態」を招く3大要因のひとつになっています。
ロコモとは「運動器症候群」のことで、主に下肢の運動機能の低下や障害により、「要介護」となるリスクが高くなる状態を意味しています。
このロコモは、大別すると「運動器自体の疾患」と「加齢による運動器機能不全」に分類されます。

(1)運動器自体の疾患(筋骨格運動器系)
加齢に伴う、様々な運動器疾患。たとえば変形性関節症、骨粗鬆症に伴う円背、易骨折性、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、関節リウマチなどでの痛み、関節可動域制限、筋力低下・麻痺・骨折・痙性などによりバランス能力・体力・移動能力の低下を生じる。
(2)加齢による運動器機能不全
加齢により身体機能は徐々に衰えます。筋力低下・持久力低下・反応時間の延長・運動速度の低下・巧緻性低下・深部感覚低下・バランス能力低下など。
たとえば外出を嫌がることで運動不足になると、これらの「筋力」や「バランス能力の低下」などを招き「運動機能の低下」が起こり、容易に転倒しやすくなります。 

すでにロコモは国民病です。
変形性関節症と、骨粗鬆症に限っても、推計患者数は4700万人(男性2100万人、女性2600万人)と推定されています。
高齢者は、「加齢」と「運動不足」の複合により、「身体機能の低下」や、「運動器疾患」による痛みや、易骨折性(軽微な外傷による骨折)など、様々な要因が重なり合い、いわば「負の連鎖」によってバランス能力・体力・移動能力の低下を生じ、遂には「立って歩く」「衣服の着脱」「トイレに行く」などの最低限の日常生活機能を維持できなくなります。
メタボリックシンドロームは、心臓や脳血管などの「内臓の病気」を招くことで「健康寿命」が短くなったり「要介護状態」になるのに対し、ロコモは、「運動器の障害」が原因で起こります。
ですから日頃から「ロコモ」「メタボ」「認知症」を併発しないように心掛けることで「健康年齢」が伸び、「生活機能」が温存できることになります。
歩行改善士は「歩行可能年齢の引き上げ」により生活機能の維持・温存と転倒予防・転倒骨折予防を行うことで介護予防を行うと共に、高齢者の経済活動を持続させることで若い働き世代の負担を軽減するための社会貢献活動を行っています。

「ロコモティブ シンドローム」は40代から発症すると言われており、その特徴は以下の5点です。
1.階段の登り降りに手すりが必要である
2.室内でつまずきやすい
3.横断歩道を一気に渡れない(歩行のスピードが極端に遅い)
4.15分以上続けて歩けない
5.15秒以上片足立ちできない
以上5項目に該当したら転倒骨折の可能性が非常に高くなります。
また、65歳以上の高齢者の場合、転倒骨折すると2年後に「要介護」と認定される可能性が80%というデータ(東京消防庁)もあります。